DAWを用いたミキシングで知っておくべき4つのポイント
どのDAW (デジタルオーディオワークステーション) を用いようと、この4つのポイントさえ理解しておけば素敵なミキシングを作り出せる。
さらに、この4つのポイントを知ればどんなDAWやミキシング用プラットフォームでも使いこなすことができる。どれを使ってもあなたのミキシングができるのだ。
それがどうしたって?
一流のミキシング・エンジニアを目指すからには、ミキシング理論をマスターした上で、どこでどんな装置に当たっても柔軟にうまく使いこなせるようになるべきだろう。
コアコンセプト#1 – バランス
ミキシングの全工程を煎じ詰めれば、バランスといえるだろう。素晴らしいミキシングの神髄を表す言葉だ。
ここでバランスというのは、ボリュームとパンニングの間のバランスのことだ。
素晴らしいミキシングの基礎となるのは、それぞれのトラックについて他のトラックに対する音量のバランスと、それに趣きを付けるパンニングとをどこまでもよく考え抜いて決めることだ。
楽曲のあらゆる瞬間に変化をつけるために、ボリュームやパンニングのオートメーション機能を利用する人は多いだろう。でも、一般に楽曲の85%まではフェードやパンポットの定位をあなたが自分で最適化できなければならない。
私なら、10分から一時間をかけて楽曲のルーピング作業だけを繰り返し、その間に楽曲が一体化して聞こえるようになったと感じられるようになるまでボリューム・フェーダーやパンポットの調整を続け、ヴァイブの効果も加える。
もし最初にこのステップを踏まなければ、続く3つのステップもうまくいかないだろう。
このステップの良い点は、プラグインもいらなければDAWに関する知識も必要ないので、きわめて簡単なことだ。
さあトラックを開いてフェーダーを準備して、始めよう!
コアコンセプト#2 – EQ
バランスの調整がきちんとできたら、一番大切なプラグインであるEQを使う番だ。
EQを使うのは、多くのトラックの中からいらないものをそぎ落とし、埋もれている素晴らしい音響を引き出すためだ。
私はクリエイティブ・ライブのクラスを受講する学生たちによく言うのだが、EQとはボリューム・フェーダーが進化したようなものだ。
どのDAWにも、無料ソフトウェア版を選んでも最低一つのEQが装備されているのは良い点だ。
ひとたびEQを縦横に使えるようになれば (つまり操作の腕前だけではなくその背後の概念まで会得できたなら)、どのDAWのどんなEQでも使いこなせるようになる。
ただし、EQは必要な2つの基本プラグインのうちの1つに過ぎない。もう1つは何だろうか。
コアコンセプト#3 – コンプレッション
絶妙なバランスとEQ調整が済んだなら、ミキシングに趣きを添えるコンプレッションの準備ができている。
コンプレッションはあなたのトラックにポップ感、味わい、豊かさ、力強さ、パンチ、滑らかさなどの感じを与えることができるとても頼りになるツールだ。
コンプレッションはさまざまな目的に沿ってさまざまに利用されるが、EQですでにそぐわない音をそぎ落とした後なら多分、コンプレッサーは最高のツールになるだろう。
アタックの部分をどう設定するかによって、同じコンプレッサーを用いてもかなり異なる結果が得られることがある。これもこのツールの多様な能力を表す一面だ。
さらに、コンプレッサーには素晴らしい特徴がある。どれか一つを使いこなせたなら、どのコンプレッサーでも同じように使えるのだ。
こうしてボリューム・フェーダーとEQ、それにコンプレッサーを使えるようになったあなたは、今やこの地球上のどんなDAWでもミキシングができるようになったわけだ。
でも、この3つのステップを終えてさらに一段上のレベルに引き上げ、どんなミキシングにも対応ができるさらに強力なポイントがある。
コアコンセプト#4 – リファレンストラック
ミキシング用の道具で、それが一つあると本当に頼りになるし実際助かる、そしてどんな場面でもずっとその力を発揮してくれるようなものがあるとすれば、ミキシング用のリファレンストラックがそれだ。
リファレンスとは何かって? それは過去の素晴らしい作品に学ぼうとする習慣のこと。すなわち、あなたが絶賛するような素晴らしいトラックで、たまたまジャンルも楽器編成もあなたが今ミキシングに取り組んでいるトラックと似ているものを基準に、あなたのミキシングの良し悪しを比べることだ。
実に簡単。
それのどこが魔法なのか? どうして強力なのか?
ベンチマークとして多くのことが分かるから。その日その会場で、その場にあるDAWやスピーカー/ヘッドフォンなどを用いて、良いミキシングであればどのように響くかを教えてくれるからだ。
それがなければ、スネアドラムが本来どのように響くのか、キックドラムはどのくらいの音量なのか、はたまたミキシングの全体の響きがどうなるべきか、見当もつかないではないか。
耳が覚えているから大丈夫?
残念、それは想像以上に悪い結果を引き起こすだろう。
さらに、あなたがミキシングをする会場はふつう、完璧にフラットで自然な環境ではないし、どの部屋も音響上の問題点を抱えているものだ。
だから、とにかくリファレンストラックを持ち込んで、何度もあなたのミキシングとの聞き比べを繰り返すべきなのだ。その効果はすぐに現れて、その場の音響システムやスピーカーセットがなんであろうと、バランスよくEQがうまく調整されコンプレッションも施されたミキシングを送り出すことができるようになる。
以上、どうぞ遠慮なく使っていただきたい。
Garagebandを用いたミキシング
この4つのポイントは私にとってはかけがえのないコンセプトだ。先週も、私たちの$300スタジオチャレンジに向けてこれに基づいて楽曲をミキシングしたばかりだ。
念のために言うが、私は普段はプロ用ツールを使っているのだが、そのチャレンジではフリーソフトであるGaragebandを用いて一曲を丸ごと録音しミキシングまでやることにした。その会場のヘッドフォンも私が使ったことのないものだった。
実際、プログラムの進行に合わせて何をどうすればいいのか分からなかった (それにそのヘッドフォンのEQ曲線すら分からなかった)。ただこの4つのポイントだけが頼りだった。
でも、その場で為すべきことは、ボリュームとパンポットを調整し、EQとコンプレッサーの設定を決め、リファレンストラックを用いて整えていくことだけだった。
この簡単な作業を進めながら、私はいつもの調子を取り戻しした。すぐに私は落ち着いて、何をどうすればよいか理解した。
そう、慣れない環境に来て優れたミキシングを作り出すためには、実際こうするしかないのだ。
あなたもこの4つのポイントに満足していただけるだろうか。
ここで少し質問をさせてほしい。
- この4つのコンセプトについてあなたはどのくらい満足していただけただろう。あなたはすでにこの4つをすべてお使いだろうか。
- もし満足していただけない場合、一番の問題はどこにあるか聞かせていただけないだろうか。バランス、EQ、コンプレッション、それともリファレンス?
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