ミックス・リファレンス:完璧なミックス作業を行うためのリファレンス活用術

ミックス・リファレンス:完璧なミックス作業を行うためのリファレンス活用術

楽曲の良し悪しを確認するために試すべき唯一の方法、それが「ミックス・リファレンス」です。

『自分の曲はイケてるのか?』『仕上げは完璧か?』『世に出す基準を満たしているか?』・・・あらゆるクリエイターたちが自らに問い質すこれら数々の疑問。

作品と誠実に向き合う限り、これらの疑問から逃れることなど出来ません。毎回毎回自分に問い質すことになるのです。

さて、本当に近しい友人たちが私の作ったトラックを聴いて「これ超カッコいいじゃん!」と言ってくれたとしても(あんがとよ、友よ!)、私はそれを鵜呑みにしないようにしています。だってそれはお世辞かもしれないし、仲間故に評価が「甘い」可能性が高いのですから。

そこで公平中立な意見を得るためのプロセスとして付け加えなければならない一つのシンプルなステップがあるのです。

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自分に厳しく、器は大きく

最も有効な手段、それが「ミックスにおけるリファレンス」の活用です。これによって「より良きプロデューサー」「より良きミックス・エンジニア」になれます。

で「どうやるのさ?」って? 私の場合「2つのやり方」を「それぞれの意味」で用いています。

確信出来ない時は、「答え」を参照する

大物アーティストの場合、ミキシング作業の段階で「仕上げ前のマスタリング」を複数回行うということもしばしばあるようです。Dr. Dreのアルバム「The Chronic」制作時のエピソードによると、ミキシング作業を終えるまでになんと6回も(!)マスタリングに送り込んだんだそうです。

なんとも奇妙なことのように思えるかもしれませんが、こう考えてみてください。マスタリングは「ミックス時に注意を払わなければいけない箇所」をあぶり出してくれる最善の方法なのです。

これはまるで「参考書の問題を解くのに答えが書いてある巻末ページをすぐ見ちゃう」みたいなことを宿題でやっちゃう的なことですね。つまりカンニングで捕まることもないという(苦笑)

A-B

思い立ったらマスタリング、気になったらちょいちょいマスタリング

ではいかにこのリファレンス作業を組み込んでいくのかということでLANDRの出番。

チェックしたいミックスを選んでオーディオデータを書き出したらそれをLANDRにドラッグ・オフ。LANDRならものの2分で完了です。聴きなおして注意点を書きとめたら再びミックス作業に戻りそこを直していく・・・

Drag n drop

超カンタンでしょ? これで友人たちの言うお世辞じゃない、嘘偽りのない正直な答えを知ることが出来るのです(すまんな、友よ)。

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アイディアを試し、ヘッドルームが十分にあるか、ミックスしたサウンドが十分にラウドかどうかを確認するのに最適な方法だと言えます。

あなた専属のアシスタント・エンジニア

この「あなた専属のアシスタント・エンジニア」を使いこなすのです。

ミックス作業の途中、トラックを書き出してマスタリングをかけてみるのです。わたしはこの作業を何度か繰り返してやってみています。

このセッションで私は、バスドラムのキックとそのブースト加減に関してミックス全編を通してのイメージに関わるリスクを抱えていました。それが果たして正しいのかどうか確信を得るため、迷わずすぐにLANDRを使用しました。

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素晴らしい響きなんだけれども、どうやらキックの音を少し「突き過ぎ」たようです。そこでミックスに戻り少し下げました。再びマスタリングをかけて確認してみるとミックスは完璧になりました。

私は何年にもわたってとても数多くの「ミックス時に役立つ情報」なるものを仕入れてきました。使えるもの、そうでもないもの、色々ありましたが、ミックス・リファレンスは私にとって欠かせないテクニックとなりました。

プロがやっていることを、やる

第2のステップは「あなたの嗜好に合ったミックスのサウンドとはいかなるものかを知る」こと。ミックス・リファレンスの過程を経たサウンドはすでに十分良いものになっているはずです。

では、あなたの大のお気に入りである誰かの楽曲を選んで、あなたのDAWシステムに取り込んで聴いてみてください。その上であなたの作った楽曲がそのお気に入りの楽曲のサウンドが持つテイストに近づくように仕上げていくのです。

前述上記の私のセッションにおけるリファレンス・トラックを確認してください。「Ref」となっているものです。

このところずーっと私がこの確認作業に用いていたのは「Daft Punk」の最新アルバムなんですが、ご存知のように彼らはこのアルバムのミックスに5年も費やしているんですよね。

こんな感じで、一番大事なことはあなたにインスピレーションや刺激を与えてやる気を出させてくれる作品を用いるということです。

全て為されたときが完了を意味する

制作過程においてより良いものにしていくことは常に簡単なことではありません。そして「完成させる」ことは最も難しいステップだと言えます。

私なんか「完成」の意味すらわかってませんでしたよ。

何度も何度も迷子になった経験を経て、ミックス・リファレンスの作業はセッション中にちょくちょく立ち寄る休憩所みたいな感じになりました。これ、とっても助かってます。

ぜひあなたもこのやり方を取り入れてください。ミックスがどんどん良くなっていく感触を楽しんでくださいね。そしてあなたのミックスしたサウンドがいかなる再生環境にあってどう聴こえるのかを把握することに慣れていきましょう。

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